広告クリエイターとマーケッター
「どれだけそのインターネットキャンペーン自体が話題になっても、そのキャンペーンの商品・サービスの売上や企業のブランド向上にやっぱり繋がらなければいけない」(インターネットキャンペーンばかりが話題になっても仕方がない - makitani.com)という市嶋さんのエントリーを受けてのsmashmediaの河野さんの下記のエントリー。
だから「ブランド作り」が目的であっても、やっぱり売上アップという結果を出さないといけないし、マーケティングに関わる人はそこから逃げたらダメだと思う。
ページが見つかりません - smashmedia.jp
これを読んでいて、日経ビジネスオンラインの藤田さんの連載を読み返してみた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20071022/138202/?P=1
ここで言われてる話題作りの仕掛け手側がサイバーエージェントの須田さんなのかな、と思った。博報堂でCMプランナーとして数々の広告賞を受賞されている須田さんは、これからの広告の経路がネットなのかテレビなのかということを問うこと自体ナンセンスとして、結局「イイモノ」が勝つと主張されています。
つまり、コンテンツが勝負なのであって、クオリティの高い広告はネットキャンペーンであれ、テレビCMであれ、人々の関心に止まるわけだから、リーチXフリークエンシーの価値基準で言えば、それでOKという感じですね。
これに対して藤田さんの主張は「マス広告が効かなくなってきているのではなく、広告自体の果たす役割が低下してきている」と指摘。「広告は生き続ける(これからも)」とする須田さんと「広告というマーケティングの手法が効かなくなっている」とする藤田さんでは、観点が違うということか。
私見ですが、須田さんは昔ながらの広告クリエイターで、藤田さんはマーケッターなのかな、という感じがしました。つまり、この対立(?)構造というのはクリエイターとマーケッターという立ち位置に起因してるのでは?
そこで、また面白いエントリーを発見。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2788
筆者の菊池さんは、「たとえば一枚のポスターや一本のCFが時代の空気を切り取り、その時代のシンボルになりえた時代が確かにあった」とかつての時代を回顧するとともにこの20〜30年ほどの時代の変化というもの当事者の声として伝えている。
下のくだりなど、まさしくその通りだと同感される方も多数いるんじゃないだろうか。
広告の世界は、バブル崩壊とともに、企業の広告費が削減され、元気がなくなった。追い討ちをかけるように、デザインの現場ではIT化が進展した。広告費が削減されても、デザイン現場が効率化されれば、利益は確保できるだろう、という甘い見込みのもとに、大小を問わず、マッキントッシュという名のコンピュータが導入された。 もっと安く、もっと早く、もっと上手く…IT化されたデザイン事務所は、コンピュータやプリンタのリース代を稼ぐという負荷もいっしょに手に入れることになる。作業が効率化されたら、その浮いた時間を、考える時間、創造的な思索に振り向けられるはずであった…はずであった、で、あった。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2788
そして、以下のように結んでいる。
広告制作の現場は、いま、大きな転機を迎えているのだろう。従来のビジネスモデルに依存していては、もはや発展が見込めない。まず、広告そのものの意味を根本から問い直し、そして現状の企業をめぐる環境の変化に、広告戦略はどこまで対応できるのか。生活者の消費行動をどこまで洞察できるのか。そのとき、メディアは?手法は?表現は?
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=2788
まさに、ここの「広告そのものの意味を根本から問い直す」という時機に来ているのだ。それこそが須田さんや藤田さんの論じているところであり、市嶋さんや河野さんが指摘しているところでもある。
従来の広告クリエイターの考え方は「内輪受けに甘んじていて」「自己満足に浸っていて」「クライアントの視点、エンドユーザーの視点が欠けている」と言われているわけだ。それって違うんじゃないの?というのが、ネット以後のマーケッターの意見。
ネット関係でクリエイターとか名乗っている人を見るとサブイのは、多分そういう温度差があるから。不況があり、インターネットがあり、広告が機能しなくなり、そして業界からはクリエイターという名のつく人たちが生まれなくなった。そこで新たに生まれてくる職業とは?マーケッターは広告を含めた総合的なソリューションを求められている。そこには、藤田さんが指摘するとおり、CGMやマーケットPRというものがあるのかもしれない。
クライアント企業がパトロンでない限り、「おもしろいこと」だけをやって許される職種は存在しないのだ。そう、バブルの時代をのぞけば。
なんてことをぐずぐず考えながら、手にして読み始めた本がこれ。
- 作者: 佐藤可士和
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/09/15
- メディア: 単行本
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いちいち同感しまくりです。