ウェブディレクターだけがレベルを上げてはいけない

:Webディレクター,かくあるべき「第二部 対クライアントへのマインド,Webディレクターの存在」|gihyo.jp

この対談、概ね主張はひとつのことに集約されているように思う。
ウェブ、ウェブってウェブばかりに目を奪われずに、トータルコミュニケーションのなかでのウェブという手段について語れるようになるべし、と。

最終的にはWebを使うにしても,根本的なビジネス戦略のところから作っていくみたいな話になる

クライアントが一番やりたいことは社内調整ではなくて,当然僕らも違います。それでも,プロジェクトを進めるにあたってはクリアにする必要があります。

会社として扱うのは,Webだけではなく情報プロダクト全般

決してWebだけではないシーンにも参加しているんですよ。そこから,本来Webでやるべきかどうか,みたいな議論の中で,僕らからも「いや,これはWebじゃないほうが良い」とか「これはリアルのほうが良いですよ」とかっていう意見も出てくる

実は,一番始めはWebの話すらいらなくて。まず,ビジネス視点とか世の中の情勢はこうですよねという話がボンボン出てきて,それを話しているうちに,ストーリーをハンドリングしていって,結論として「じゃあ,Webサイトは?」となるようにもっていけるかが重要なんだろう

こういうことが言えるレベルに行くには相当・・・。正論なのはすごくわかるし、同意もするんだけど。

総じて同意できる意見の応酬だったし、その通りのことばかり言われているような気がするんだけど、微妙に違和感も残ってしまう。

というのは、現実はこういう正論が通らないのが常じゃないかと思うからだ。制作サイドばかりが賢くなっても、クライアントはそこまでついてきてなかったりする場合もある。いくらウェブが手段でしかないといっても、クライアントは技術の視点からしか見なかったり、それこそフラッシュだ、ブログだなんだって要素技術の方ばかりを強調してきて、ビジネスの本質論にちっとも行かなかったり。実務経験のないウェブ業界志望者がこういった記事を読んで夢をふくらませたとしたら、それはちょっとガッカリさせてしまうんじゃないかなと要らぬ心配をしてしまう。

対談だけ読むとすごく理想的な仕事に聞こえちゃうというか、クライアントとがっちり意志統一してビジネスを回していってるみたいな印象があるんだけど、そんなのはごく業界のごく一部の話じゃないかと思うのだ。一部を拡大して、あたかもそれがすべてのように受け取ってはいけない。現実はもっとトホホなことの連続なんだから。(そう思うのは、僕がたいした仕事をしてないからかもしれないけど)

僕がまだ学生でウェブ業界志望者だとしたら、この対談はすごく刺激になるだろうし、指針を確認するうえでも読んでよかったなと思うだろう。けども、この対談のレベルに行くにはそれはそれは相当にしんどいことだということには気づかないかもしれない。